漢方のススメ

Sports J 7/20号掲載

ぐあいが悪くてお医者さんに行っていろいろ高価な検査をしてあちこち調べてもらったのにどこも異常がないから治せませんといわれた。そんな経験はありませんか?本人はぐあいが悪くて困っているのに検査結果はあなたは病気ではありませんという。こういうのを機能的愁訴といいます。日本のお医者さんの7割以上が治療に漢方を取り入れているのは、漢方が機能的愁訴に有効であるのを知っているからです。西洋医学ではある症状の原因がわかってはじめて治療することができるのですが、漢方では症状と脈証、腹証さえあればその西洋医学的原因がわからなくても治療を始めることができます。またせっかく原因がわかって治療を始めても西洋薬の副作用が強くて服用を続けられないという方にも漢方はおすすめです。

漢方ではからだ全体を治療します。ですから複数の症状が同時に治ってしまうことも少なくありません。たとえばある人が冷え性で頭痛もち、めまいもするし消化も遅い、脚もむくむ、としましょう。西洋医学では頭痛薬、めまいの薬、胃薬、むくみを取る利尿剤などを処方するかもしれません。漢方ではこの人のすべての症状は、陽(暖かさ、エネルギー)が不足しているために余分な水が頭、胃や脚にとどまっているためにおこっていると考え、陽を補い余分な水を追い出す漢方薬で治療します。

アメリカに住んでいても漢方の恩恵に浴することは可能です。漢方薬は煎じるのが面倒で家中臭くなる、と思い込んでいませんか?もちろん生薬を煎じて飲む古来の方法が一番効き目がいいのですが、服用に便利なパウダー、カプセルやピルという選択肢もあります。アメリカでは漢方薬は薬ではなくサプリメントとして扱われているので処方箋なしで買うことができます。しかし使い方を間違えるとよくならないばかりかかえって症状が悪化したり、新たな症状が出てきたりすることもありますので専門家の診断の下にお使いになることをおすすめします。

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